松葉ガニを始めとするズワイガニはオスのズワイガニのこと。
ではメスは?同じようにズワイガニとして流通しているのか?というと違うんです!
大きいのがオスで、小さいのがメス。
ここまで大きさに差があるんです。
大きさだけではなく、その味わい方も違うので今回はメスのズワイガニにフォーカスしてご紹介です。
その名もセコガニ
オスのズワイガニは、地域によってブランド化され、松葉ガニ、間人ガニ、越前ガニなどの呼び名がありますが、メスも同様に地域によって呼び方が違うんです。
※オスのズワイガニの紹介記事はこちら ←「松葉ガニ」お時間あれば御覧ください
セコガニ(セイコガニ):島根をはじめとした山陰地方での呼び名
コッペガニ:京都丹後地方での呼び名
香箱ガニ:北陸地方での呼び名
メガニ:新潟地方での呼び名
今回は、松葉ガニと一緒に送ってもらったので、セコガニとしてご紹介です。
漁期
オスの漁期は11月上旬から3月下旬ですが、メスの漁期は11月上旬の解禁から12月末まで。
種の保護のため、メスのほうが限られた漁期なんです。
限られた資源をこの先ずっと楽しめるように資源保護には努めましょう!
気になるお値段は
ブランドの付いたオスのズワイガニは1万円〜と若干割高。
足がもげてしまった足折れと呼ばれるものでも、数千円は下らない。やはり贅沢な食材。
でも、セコガニは、数百円〜といったリーズナブルな価格設定。
といっても、女の子のこぶし大の甲羅のカニに数百円は、決して安くないような気がしますが・・・
メスならではの楽しみは、これ!
写真を見れば一目瞭然。こちら↓
そう、たまごです!
お腹をすこーしめくらせていただき、中身を拝見。
こちらは体の外側にある外子と呼ばれる受精卵。この外子を持っているメスガニを黒子と呼ぶ地域もあります。
体の中にも楽しみがあるので、記事後半でご確認ください。
ちなみに、カニは鮮度が命。このセコガニも生きてますよ!
調理開始!
では、ここからセコガニならではの調理をご紹介!
茹で
多めのお湯で茹でます。
この時、4%くらいの塩分濃度。
ちなみに、生きたセコガニを熱いお湯に入れると足がもげてしまうことがあるので、真水につけておくなどして少し弱らせておきます。
写真のようにお腹を上にしておいてあげてください。
茹で時間は10分前後。吹きこぼしに注意してくださいね。
冷却
一気に冷まします。
きれいな色に茹で上がりました!
このとき、お腹を見ると外子がプリッとしていて食欲をそそります。
(少しだけ味見したのは、ナイショです)
解体!
パーツごとに丁寧に解体していきます。
左上の甲羅から時計回りに、
外子、内子、カニ味噌、肩肉、脚肉。
ここで初登場、「内子」。
卵巣のこと。外子と違いねっとりとした甘みと香り。
外子がないメスガニのことを赤子と表現することもあります。
外子があるのが黒子で、ないのが赤子。そのものの色を表したことが始まりと言われるようですが、奥が深い。
個人的にはこの赤子が好きです!
私は現物見たことないのですが、この赤子だけで売っている商品もあるようですので、一度お目にかかりたい!
でも、気づいたことが一つ。
カニ味噌と赤子を一緒に口に運ぶと得も言われぬ幸福感。。こっちか!と一人で感動。
ちなみに、脚肉は麺棒をつかって、細い方から太い方に押し出すと簡単に取り出せます。
※足の根本はポキっとするのではなく、一番太いところを包丁でカットしておいてくださいね
あっ、ついでに肩肉も麺棒を使って押し出しておくとほぐすのが楽になりますよ。若干ですが。
盛り付け
ここまでくればあとは盛り付けのみ。
甲羅の中に、外子、内子、みそ、肩肉を並べて入れます。
混ぜてもよいのですが、混ぜるのは食べる人の好みによっておまかせしたいので、混ぜずに並べました。
そして脚肉で蓋をするようにきれいに並べると・・・
これですよね。甲羅盛り!
これがセコガニにファンが多い理由です。目で楽しむ日本料理ならではの技法。
数年前に高級料理店で現物お目にかかりましたけど、自分でもここまでできるとは!!
※細かいところへの気遣いや、工夫は足元にも及びませんが・・・
あとがき
今回、初めてセコガニを生きたまま手に入れて処理をしてみましたが、手間がかかることを身を持って体験。
ここまで処理して提供してくれる飲食店の方々へ感謝。
しかし、自分でもここまでできることがわかり、次のシーズンはまた挑戦しようと、心に決めました!
「松葉ガニ」も冬の贅沢品として欠かしたくないものですが、今回自分で経験したことからちょっぴりセコガニファンになりつつあるかもしれません。
来シーズンもオスメスセットで楽しみます!
今回もごちそうさまでした。