パン、パスタ、うどん、ケーキ、お菓子など。
我々が口にする食事に欠かせないものとなっている「小麦」。
昨今、お米の需給バランスの崩壊や価格高につき注目されていますが、外国産に頼っている状況は否めません。
そんな貴重な国産の小麦についてご紹介いたします。
※学術的な話はございません
北海道の小麦畑↑
輸入小麦の状況
日本国内で流通する多くの小麦粉は外国産です。
日本では、国内の小麦を安定供給するために、アメリカ、カナダ、オーストラリアから、政府が商社などを通じ買い付けを行い、製粉会社に売り渡す仕組みがあります。
輸入小麦の政府売渡価格というものは上記の仕組で決まっている。
農林水産省のページに入札結果があるので参考にしてみても面白いですよ。
ちなみに、国産の小麦は全体の20%に満たないほどですが流通はしています。
主に北海道や九州産の小麦になりますが、日本各地で生産されていることを確認できております。
こだわりの国産小麦
国産の小麦はこだわりの飲食店(ベーカリー、うどん屋、ピザ屋)などで使用されておりますが、一般消費者として比較的簡単に入手できる商品はPascoの国産小麦のパンではないだろうか。
スーパーなどで手に入れられるので、見つけたら一度手に取ってみてください。その違いを堪能あれ!
が、国産小麦だからおいしい、とかではありません。
外国産には外国産の良さがあり、国産には国産の良さがあります。
強力粉、中力粉、薄力粉・・・小麦粉にはいろいろな種類がありますが、日本の小麦は中力粉に近いグルテン量のものが多いです。
パンに使用されるのは主に強力粉で、グルテン量が多いもの。日本で古来より食べられているのが中力粉を使用するうどんであることがこのことからも理解できます。
日本人は、国産という響きに弱い、私もその一人。
日本人なんだから、国内の産品を消費しようよ、という気持ちもありますが、日本人の細やかな配慮がある生産、加工工程が安心感につながっている。
(外国産がNGってことではないし、近代的で衛生的なものが海外の工場があることも知っている)
まぁ、なんにせよ、全体の2割しかない貴重な食材ってことは事実。
北海道の小麦畑で生の小麦を手にしました。
お米のような小麦の粒。
中身は白く、そのまま口にしてみるとほんのりとした甘み。
小麦粉はそのまま食べるとお腹を壊すのでご注意ください。
今回、食べたのは植物としての「小麦」です。
国産小麦が一気に増えない理由 ※推測含む
小麦って、広大な土地で育て、一気に刈り取る。
それでもって、漸く利益につながると生産者から聞きました。
日本の小さな土地では、その利益の確保が難しいといいます。
だから北海道や九州の広大な土地で育てられる傾向にあるようです。
千葉や埼玉、ここ岡山でも栽培はしているので、好きな人はいるんだろうと思いますが。
また、小麦は収穫してから乾燥させ、製粉する必要があります。
パウダー状の小麦粉にするには、一般人がどうにかするのは困難ですね。
やるなら石臼引きとかになるのかな・・・
大手の製粉会社は30tほどを一気に製粉するようです。
つまり、その分を準備しないと製粉できないということで、これも小さな農家が生産しない理由でもあります。
北海道では、JAがその取りまとめをしています。
生産者が刈り取った小麦をJAの管理する倉庫で一定期間保管(乾燥)し、製粉の時期を待つ。
JAが絡んでくれるのであれば、小さな農家でも栽培できるが、全体量がまとまらないと作ってもお金に換えられない。
やはり広大な土地、多くの生産者仲間が必要になってくる。
余談ですが、農産物の流通にJAが関わっているのはこのような背景もあり、日本の農業をしっかり支えてくれているもの事実です。
国産小麦の種類
ちなみに、国内で作られる小麦にもいろいろな品種が存在します。
【北海道】ゆめちから、春よ恋、はるゆたか、など
【九州】ミナミノカオリ、せときらら、など
年々品種改良がおこなわれており、日本でも育てやすく、加工しやすい品種に変わりつつあります。
2年後、3年後には現在主流の小麦から変わっていくことも、日々の品種改良の成果。
普通にあり得るお話。
あとがき
先日、北海道の小麦生産者を訪問し、お話を聞いてきました。
2025年、令和の米騒動のさなか、小麦からお米に切り替えた方が利益が出る、と考える農家さんもいるようでした。
実際には、お米の生産は田で行われるため、水(水路)の確保が難しく一筋縄ではいかないらしい。
乾田直播栽培という水を貼らない栽培方法もあるらしく、これから少しずつ増えてくると思います。
1㎡あたりの収穫量はお米の方が多く利益になりやすい。
ただし、生産にあたり小麦の方がコストがかからない。
だから、より広大な土地があれば、小麦の方が利益になる、という構図。
冒頭に掲載した写真は、北海道の小麦畑。
一面が小麦であるくらい広大な土地で作らないと採算が合わないことを物語っている。
にしても、素晴らしい景色でした。
パン、麺類、ケーキなどなど
これからもお世話になる機会が多い食品につき、国内の生産量をあげられることを切に願います。