寒さ続く季節に体温まるスープはいかがでしょうか。
鍋料理を重宝する我が家ではスープや出汁は基本手作り。
ということで、ラーメンにも活用できる「鶏白湯」を作ってみました。
余計な味付けなどはしていない、とてもシンプルかつ本格的なのでお試しください。
※鶏ガラ(骨や身体の内側)の写真がでてきますのでご注意ください
材料となる地鶏を調達
いつもはスーパーで鶏ガラを購入しているのですが、今回は【地鶏】のガラを使ってみるべく、個人的なツテを利用し、熊本県が誇る地鶏「天草大王」のガラを調達。
天草大王は熊本県のページにも紹介がでているので、興味がある方はこちら→(リンク:天草大王)をご覧ください。
↑約10kg・・・
取り寄せすぎました・・・
さて、気を取り直して、なぜ今回「地鶏」を取り寄せたかと言うと、味がしっかり出た鶏白湯を作りたかったから。
もちろん、通常の国産鶏でも美味しいお出汁はとれるのですが、その違いは歴然。
それには鶏の飼育日数が大きく関係してきます。
主に国産鶏と呼ばれる鶏は飼育日数が50日程度の、大量生産を目的とした所謂「ブロイラー」。
それに比べ地鶏は、飼育日数75日以上で、その他血統や飼育環境などに細かい基準が設けられています(2021年1月28日調べ)。
飼育日数が長い鶏は、徐々に肉質が固くなり、鶏としての旨味がのってきます。
子供の筋肉はまだ柔らかく、大人に成長するに連れ筋肉や骨が発達してくる、といえば伝わりやすいでしょうか。
天草大王の飼育日数は、なんと「120日以上」。
鶏としての大きさも国産鶏と比べとても大きく、最大で7kgほどになるそうです。(国産鶏は大きくても3kgほど)
よって、美味しいガラがとれるということで、今回は地鶏を用意しました。
ちなみに、スーパーでガラが見つからない場合、スーパーのスタッフに声をかけると裏から出してくれますよ。
鶏肉を店内でさばいている店であれば、結構な確率であるそうなので、見つからない場合は聞いてみてください。
いざ鶏白湯を作ってみる ※約5時間
さて、ここからは鶏白湯の作り方をご紹介。
※○○kgを△△時間煮込んで・・・みたいな細かいことはあまりないので、それぞれカスタマイズしてみてください
今回用意したもの
・鶏ガラ:約5kg
・にんにく:2玉
・生姜:一欠片
・長ネギの青い部分:6本分
・水
以上。
にんにくや生姜、ネギはこのまま使いますので、表面の汚れなどは洗っておいてください。
↑こんな感じです。
国産鶏など若い鳥のモミジを入れるとよりコラーゲンが取れます。
追加で甘みやとろみがほしい場合は、玉ねぎを追加しても良いです。
【下準備】
美味しいガラスープを取る際に一番重要なのが、この下準備。
鶏の嫌なニオイを出さないためにも丁寧に行います。
まず、ガラを水で洗います。
この時、ガラの内側に残っている、内臓や血合いなどを丁寧に取り除きます。
表面の汚れなどもしっかり落としましょう。
↓ きれいに掃除すると
ここまできれいになります。
※黄色い部分は鶏の脂です。肥育日数の長い地鶏は脂が黄色くなってきます。
この脂は大事な旨味を出してくれるので残しておきます。
きれいになったガラを、たっぷりの沸騰したお湯で2分程度火を通し、水で洗い流します。
↑ この時、余計な内臓などが残っていたら取り除いてください。
【煮込み】
湯がいた鶏ガラと、その他の材料を大きめの鍋に入れて、強火で5時間ほど煮込みます。
今回、7kgも使ったのでこんな↓状態になりました。
沸騰してしばらくの間は灰汁を取り除きます。
目立った灰汁がなくなってきたら、そこからは煮込んでいくだけ。
途中、水分が少なくなりすぎたら水を足してあげてください。
最初たっぷりな状態でしたが、最後はこんな↓状態になります。
水分が煮詰まり、ガラもほぐれるので、スペースが出来てきます。
白くなるのは、骨や脂から旨味が出てきて入荷された証拠です。
骨から肉や脂が落ちて、きれいな状態に。
こちら、国産鶏では「ヤゲン軟骨」と呼ばれる、胸骨の先端部分。
地鶏になると、骨が成長し、カッチカチになるため、地鶏のヤゲン軟骨は食べられません。
最後は、サラシで漉して完成です。
ここまで白濁しました。
冷えるとコラーゲンが取れているのがはっきりと分かるくらいのゼリー状になっています。
我が家ではジップロックに小分けにして冷凍保存しています。
お鍋、ラーメン、スープなどに重宝しますね。
ついでに・・・
鶏ガラスープも作ってみました。
地鶏で鶏ガラスープを作ってみる ※約5時間
上でご紹介した「鶏白湯」と全く同じ材料で鶏ガラスープを作ってみました。
今回用意したもの
・鶏ガラ:約5kg
・にんにく:2玉
・生姜:一欠片
・長ネギの青い部分:6本分
・水
以上、鶏白湯と全く同じです。
下準備は同じように行いますが、違うのは煮込む方法。
鶏白湯:強火でグツグツ(多少の灰汁は木にしない)
鶏ガラスープ:沸騰させない程度のふつふつ具合(灰汁は徹底的に取り除く)
鶏白湯よりも繊細で気を使います。
丁寧に煮込むことで、澄んだスープが取れます。
料理に合わせてお使いください。
あとがき
鶏白湯と鶏ガラスープ、同じ材料でも調理方法によって、こんなに違うものができることをご紹介してみました。
料理って奥が深い。。
料理によって合わせていくのでどちらが良い、というものはありません。
また、国内に流通する鶏肉のうち、地鶏と呼ばれるものは約1%ほど。
貴重な存在であることもご理解いただけましたでしょうか。
飼育日数が長いため、飼育にかかるコストは大きく、その分のリスクも大きい。
だから、ブロイラーよりも高価になる。
柔らかい鶏肉も良いですが、本来の鶏の美味さである弾力を噛みしめること、硬い肉が毛嫌いされる傾向にありますが、背景をもっともっとご紹介していければと思っています。
本当に美味しい食材とは、食材本来の味とは、みたいなものを知ることは、私の人生の喜びであり、課題でもあります。
さて、美味しい鍋でも食べますか。